2008年9月13日土曜日

六波羅蜜

 布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の六つ。六度とも言う。
 自分が死んだら自分の持山に遺灰を撒いて、その山の中の六本の杉の大木にこの六波羅蜜を刻み込んでくれという遺言を残しこの夏末弟が逝った。
 生前、癌に浸されていることを知ってそれなりの闘病はしていたのだろうが、開業医としての無理を上手に回避出来なかったのかもしれない。東大医学部の五〇周年記念出版物に世界で初めて脳神経外科分野での無麻酔手術を手がけた功績を執筆。
 医者の不養生を地で行く生活。
 余命がどの程度残されているのかを予測した上で、生きている内に専門家の指導の元で菩薩像の木彫りを二体仕上げ、知人の画家に自分の肖像画を描いて貰い、陶磁器の遺骨壷を焼いて貰っていたのはお通夜で聞いた。
 まだまだこれからと言うときに家族を残して鬼籍にはいるのは心残りであったに違いないと思う。
 

 

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